都心に投下された新型爆弾とのデートを描いた表題作をはじめ、くしゃみをするたび記憶が退行する奇病、毎夜訪ねて来る死んだガールフレンドなど七つの作品を収録。
時間をテーマにした、暖かくおかしくてちょっと不思議なボーイ・ミーツ・ガールストーリー。
出版社:メディアワークス(電撃文庫)
あまりライトノベルを読んでいなかったので、「このライトノベルがすごい2007」からピックアップして、本書を読んでみた。
はっきり言って小説の雰囲気になじめなかった。感覚的なものなのでうまく言えないのだが、感性というかそういう点で、肌に合わないといったところである。
って、それで終わってしまうのも何なので、あえて良かった点にも触れていこう。
本作で優れていた点はプロット、そしてアイデアの着眼点である。
たとえば「ある日、爆弾がおちてきて」の人間が爆弾という設定と恋の関係性、「おおきくなあれ」の時間退行、「出席番号0番」の日替わり憑依等、アイデアが実におもしろい。しかもそれをきっちりお話としてまとめている点が注目に値する。
短編ということもあってか、驚きという点では足りないし、カタルシスも少ないが、情景を適切に切り取り、過不足なくまとめていることは単純にうまい。
白眉は「むかし、爆弾がおちてきて」だろうか。
その設定のユニークさは個人的には好きだ。実に不思議な設定を考え出すものだ、と感嘆するばかりだ。
ってここまで誉めておいて、結論は感覚的に合わないというのが残念である。理性的には優れていると認めつつも、感覚的にはそれを否定したくてたまらない。それが本作に対する僕の結論だ。
評価:★★(満点は★★★★★)
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